『brilliant color』


                            sub title:  モノクローム

誰かに依存しなければ
存在できない世界なんて

誰かを犠牲にしなければ
永らえない世界なんて

君も消えたくないだろう


こんな
矛盾が渦めく世界で
僕らはただ生を求めるんだ
止めどなく溢れる不安要素を消し去るために
喰らい合うしかないけど

どこか虚ろな僕らの空は
ずっとずっとずっと大切なものをほしがってる


「結局最期まで自分しかいない」
信じられる存在を否定して永らえてる

この存在を生かすために
モノクロームなリズムで世界を彩るしかないけど

僕らに見えるのは
むせかえるような空の青
萌え出でる緑
暁の紫
夕焼けの赤
君の瞳の色

喰らい合って壊れた心は
カラーな世界を忘れてしまったんだ
ほんとは辛いんだろう現実の色を思い出して
もう泣いてしまわないように腕の中に閉じ込めた

見慣れた善と悪
歪になった心はただ未来のために現在に存在する
いつかいつかきっといつか元に戻れると思ってるんだ


こんな
白黒の世界の中で
あざやかなものを探してる
結局消えてしまうのが怖いんだって解ってるよ
依存することも失うことも怖いけど

ねぇでもやっぱり
曇った灰色僕らの空は
ずっとずっと守りたいたったひとつをほしがってる


そうでしょう

吸い込まれそうな青
この掌の中
流れる熱い赤
目を逸らせない色
色づく感情

君を見てるよ

フラッシュバックして踊り出すんだ

カラーな世界を夢の中に仕舞い込んで拒絶した光
渦めく矛盾さえ忘れてしまったんだ
塗りつぶした黒に染まらない
君だけが見える


こんな
モノクロームな世界の中で
君だけが鮮やかに見える
たとえ別々の道を選んで離ればなれになっても
失いたくない守りたい犠牲になんてしたくないと思うんだ

空っぽな心どうし
儚い願い事で互いを繋いで
一番大切な生命を懸けて


僕らは生き永らえるために



                            sub title:  Cain and Abel

罪は赤く止めどなく
輪廻のごとくまわるから
俺とお前の罪の重さは等しく平らであるはずだった

血は赤く揺るぎなく
宿命のごとく刻まれるから
俺とお前は酷くどこまでも似ているはずだった

背負った罪の重さを知らない訳じゃない
苦しみを知っている
その計り知れないことも知っているから
敢えて口には出さないけれど

生まれ持った罪など理不尽だろう


虚ろな穴を埋めるがごとく
罪を赤く塗りつぶせ
血のいろ滴る罪ならば
重さなど苦しみなど何処までも計り知れぬ


何故二人は等しくなかったのか
何故二人は同じでなかったのか

俺は吼える
お前の罪の重さを嘆いて
お前との血の違いを嘆いて
心がたった一つの何かを求めている
苦しみを嘆いて


虚ろな心を壊すがごとく
空を赤く塗りつぶせ
血のいろ一色に染め上げたなら
その心はきっと満たされる


心なんてどこかへ置いてきたのさ
白黒の世界で一人嗤う
そんなの見えないから悪いのさ
赤く塗れた塊を掌に載せて 俺は心と呼んで掲げている
視線の先見える世界
その奥に純白の何かがあるのを知りながら


白い空を忘れるな
いつも見上げて焼き付けて
空っぽな胸の奥に蓋をして

俺は何処までも赤く赤く赤く
罪の海に溺れていく



                          sub title:  El Dorado

夢に見たものは瞼の奥で輝いて
欲しいものは記憶の片隅で傷となる
奪われたものは心に穴を開けて
勝ち取ったものはただ堆く眼前に聳える

叶わない夢はどんなに気休めであったとしても
叶えられないまま頭に焼き付く
理想は何処までも高くありたくて
浮かれたように思い描きたくて
いつまでも夢に見たいもの
遠い“いつか”に叶うかもしれないと
不可能ではないと信じ続けられるあたり
俺にはまだ生気はあるのだろう

黒い雪が音を立てて降り積もる
何処まであるのかと堆く積まれた勝利の証を眺めてみた
見上げるような雪の塊は
やはり壁がごとく聳え立つ

俺の前に現れて
怯えも嘲笑いもしないお前は
こんなにも黒い世界の中でたったひとつ
極彩色にきらめいて存在している

金色の光は瞳ではない
その白さは膚ではない
黒いその髪は血に染まってはいない
その赤はこの世界に滴る赤ではない

お前のようでありたいと
罪を背負うこの身を思った

こんなにも黒い世界の中にたった一筋
光を差し込んでくれた
頭蓋に傷ましく焼き付いたとしても叶えてみせると
思わせてくれる世界をくれた
“いつか”黒い世界が消え去って
“いつか”色とりどりの世界に立って
“いつか”お前とともにあれたらと
そんな夢を叶えてみせると

その掌を赤い血に染め上げながら
何処までも白い雪の上を音も無く歩いている
お前のようでありたいと
俺の中で蠢く血が疼いた




  -RED-より。
  色ネタが多すぎる。

  ふえます。少なくともあと3つは。


  「堆く」=うずたかく
  「聳える」=そびえる
  「膚」=はだ
  「嘲笑う」=「嗤う」=わらう