『7つめの月』
当然のように傍らにあるから
すぐ傍にあることが当然だから
目の届く範囲にあることが当然だから
どれほど大切かなんて気づかないんだね
ありがとう
今までもこれからも
きっとあなたはこれからもわたしを見つめてくれるから
ありがとう
傍にいてくれて
伝えているつもりだったけど届いていたかな
好きだよ
たったそれだけの思いを伝えるために
本当にいろいろなことをしてきたよね
お互い噛み合わないこともあって
傷つけ合って見えないところで泣き合って
傍にいて
目の届く範囲に在ってほしい
縋るような愛情を
ありがとう
今までも今もこれからもこの先も
ずっとお互いを認め合って確かめ合って
ずっと一緒にいたいって
ありがとう
失ってから気づく思いの姿形を
精一杯のちからをこめて
あなたに届けたい
sub title: 水晶玉
いつも掌の中に
水平線の向こうにあったのにな
眺めて幸せになって
明日もまた昇る太陽といっしょに見つめていられる
会って話して笑って
今日も変わらず沈む月といっしょに眠った
きらめく星が見えなくなるくらい特別なものなのに
空の色のように当たり前なものだった
掌の中の水晶玉は
朝輝くように笑い
眩しくてこの手が届かない
それでも触れた輪郭が当たり前だった
透き通るような爽やかな青で
空の真上世界に光をちりばめて
その光に触れることが出来るのはこの手だということが当たり前だった
仄かに色づく変化を直に感じて
燃えるように熱い魂で今日に終わりを告げてくれるその声を聞くことできるのが当たり前だった
深い闇の中その傍で子守歌を聴いて眠ることが当たり前だった
会って笑って触れ合って
泣いて喧嘩してまた笑って眠って
茶化した言葉が宙を舞う
掌で拾って蟠る
水平線の向こうにはもう何もない
空の色は変わらないのに
sub title: 朝焼け
君を奪った時間が
もうすぐこの世界を通り過ぎていく
時計の針が僕を連れて行く
褪せた写真が語る
変わり果てた世界が語る
瞼に耳に残る光が僕を連れて行く
奪われた君の時間も
奪われた君の心も
ぜんぶまだそこにある気がしている
朝焼けが記憶を焼いていくようで
昨日までの時間を焼いてくれるようで
君を奪われたことが
君を失ってしまったことが
今日もまた僕の心を焼くようで
今日もまた僕はこの世界を生きていく
奪われた君の時間を
奪われたあの日の僕を
今日の僕は生きていく
僅かな差でここにいる僕は
この空の下で君を失った僕は
君が見ることのできなかった日々を
君のぶんまで生きている
朝焼けが
新しい世界へ僕と君を連れて行く
sub title: monologue to earth ―――――――up***
今足が触れる この大地が崩れるとき
僕は一体どうなるんだろう
恒久の存在と思ってるんだ
だけどもしあってはならないことが起きたとして 僕は一体
人間はとても弱くて
世界のざわめくのを聞き取れない
新しいことを作り出すのに夢中で
また紙飛行機を折って
掌の上きらきらした自信作を 永久なる存在だと思っている
僕の足が冷たい地面に触れる
大きくて冷たくて強い存在だと信じている
僕らはその身をゆだねて
また空に光る流れ星を探している
人間はとても弱いんだ
いつでもいつまでも海辺に立ち尽くす
水底のとぐろを知らないまま 波打ち際の漣を眺めている
僕らを支えてくれる確固たる存在は
初めからいつかの終わりまで永久に不変だと思っている
この大地が動き出すとき
信じられる存在を喪って
消えない存在を喪って
この身に一気に不安が押し寄せる
宙づりの僕らは何を求めればいい
真っ暗な世界で何も分からないのに
この冷めた大地がひび割れるとき
僕は一体どうすればいいんだろう
人間は空ばかりを見ていた
大地がなければ飛び立てなかった
嵐の日は大地に根を下ろして
吹きすさぶ風に煽られる僕らの手を 繋いでいてくれてたんだ
人間は地に足をつけていなければ生きていけない
だからこの手と足は確かな存在を 死にものぐるいで求めるんだ
いろんなネタを詰め込みすぎました……
不謹慎ですが9.11と敬老と、それから実は秋分も重ねてたんですが、色々あったので、3.11も混ざりそうですね…
なので、一番初めのをタイトル無しでindexということで、そこから似たようなテーマでタイトルつけて続けていこうと思います。
「蟠る」=わだかまる
『 monologue to earth 』 ・・・FBログ『ake』から