-Space!-

世界に存在している生物は、みながみな生きやすい“人型” ―――すなわち直立二足歩行をする。

詳しいことはよくわからぬが、

いやいっそ全く判らないと言ってよいほど判っていないのだが、

生物は現在の躰を“めざましい進歩”によって有することができた。

躰の進歩とともに、局地的であれ技術も進歩する。

あわせて“力”の使い方も解るようになり、個体数も増加し、感情は複雑になる。

彼らは“倫理”をとても大事にした。“命”あるものとして、善悪の区別をはっきりとしていた。


しかし、人口の増加は統率のズレを生む。

感情は欲望を生む。

外見はほぼ同じなため、いくらか軋轢が生じる。

すこし違う形のものは一般に同じ形のものと“差”をつけられる。


平等で、正しい世界で生きたいと、彼らは叫び始める。

  ――― Space!

この限りある宇宙の中で、ただ“普通に”生きたいと願う。当然の権利は自然の摂理であるとくちをそろえる。


願い縋るのは神である。

彼らは平和のための存在なのだから。

しかし神が無情なれば生物は何を頼るべきか。


生物は、絶対の存在を信ずる。


   △: 流血表現あり

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「我らが導よ、我らとこの世界を導き給え」